仏像、ときどきワンダー観光

おもに仏像のこと。不思議スポットやふつうの観光の話もたまにします

【奈良】喜光寺 - 奈良を代表する高僧・行基さんのお寺/試みの大仏殿

喜光寺(きこうじ)

喜光寺 歩道橋から撮影

どんなお寺?

・721年 行基さんによって創建
・喜光寺の本堂を参考に東大寺大仏殿をつくったという説も
・行基さんのお像にも会える
・6月中旬~7月中旬は蓮が見どころ

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拝観レポート

お寺までの道のり

近鉄の尼ヶ辻駅から10分程度歩きますが、意外とすんなり行けました。

 

shishi-report-2.hatenablog.com

 

南大門

南大門

2010年に再建(なんと450年ぶり!)された、木造の楼門。

南大門におられるはブロンズ製の仁王様(中村晋也氏作)。

ブロンズ製の仁王像、口を閉じている
ブロンズ製の仁王像、口をあけている
(左)吽形 (右)阿形

ちなみに、中村晋也氏(文化勲章受賞者)のブロンズ像は薬師寺などにも納められています。彫刻家の方ですが、仏像関係の作品も多いみたいです(ウィキペディア見たら、90歳すぎても作品を発表されていてすごい……)。

(拝観受付)

私が行った日は本坊にて受付でしたので、一旦境内奥の本坊へ。
拝観料をおさめ、リーフレットなどをいただきました。
しかもなんと、写真撮影もOKとのことでした。

本堂

本堂

最初の本堂は1499年に焼失してしまい、現在のお堂は室町時代1544年に再建されたもの。
写真だとわかりづらいのですが、けっこう大きくて「おおお」となります。

このお堂を参考に、東大寺の大仏殿を建てたという伝承があり、「試みの大仏殿」とも呼ばれているそう。

(参考、東大寺の大仏殿↓、1709年の再建)

東大寺の大仏殿

喜光寺も東大寺も、いずれも再建のお堂なので、単純に比較していいのかは不明ですが。それでも、なんとなく似た感じはしますね。


さて、お堂内へ入ります。

少し暑い日でしたが、お堂内から涼しい風が流れてきて、引き寄せられるような心持ちです(お堂ってどこも涼しいですよね。湿気のある日本に適した構造というか。冬は寒いが)。

お堂内へ


(お像のお写真も撮影OKとのことでしたので、載せていますが、不都合あれば取り下げます)

阿弥陀三尊 横から

3体の仏像

左から勢至菩薩・阿弥陀如来・観自在菩薩

ご本尊は阿弥陀如来(平安時代に造像)。
木彫りの上に下地うるし、その上に金箔仕上げ。

私は向かって左におられる勢至菩薩さんの表情がとても好きです。

勢至菩薩像

入ってすぐ迎えてくれるのがこの勢至菩薩像ですが、少しほほ笑んでいるように見えて、まるで「まあまあ、よくいらした」と言ってくれているよう。

こどものころ、スーパーに行くと必ず優しく声をかけてくれたおばちゃんを思い出して、ホッとするような懐かしいような気持ちでした。

弁天堂

弁天堂

弁天堂のご神体は「宇賀神王(うがしんのう)」。

宇賀神は頭がヒト(おじいさん)で身体がヘビという独特のお姿。農耕の神様(ヘビは稲の大敵のネズミをとらえるので)です。

開扉期間ではなかったのでお厨子は閉じられており、その手前にちいさな弁天様のお像が安置されていました(宇賀神と弁才天が同一体という考え)。
(※開扉期間は元日~1/15、夏季の「ロータスロード」開催時期)。

行基堂

行基堂

喜光寺といえば、やっぱり行基さん。
入寂された(亡くなられた)のも喜光寺です。

行基菩薩像


高僧といえば一般では「最澄・空海」が有名ですが、奈良では圧倒的存在感を放つお坊さんです。

【仏像の知識】行基菩薩像 - 奈良の大仏以外にも数多くのお寺建立・社会インフラ整備に奔走したお坊さん 

 

境内その他

佛舎利殿

創建1300年を記念して、2021年に建立。
永代供養のためのお堂のようです。

蓮の鉢

時期ではありませんでしたが、蓮の鉢がたくさん。
ロータスロードの期間はさぞかし美しかろうと思います。

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おわりに

巨大寺院のようなスケール感ではないですが、個人的にはとても満足感のある参拝となりました。
建築物としての本堂もいいし、お像も好きだし、混雑もない。

何より、境内がとても清潔に保たれていて、そこから見上げる空がとても気持ちがよかった。心が洗われる気分でした。

行基さんファンはぜひ。