2022年2月5日~3月27日まで奈良国立博物館にて開催の特別展「聖林寺十一面観音 三輪山信仰のみほとけ」の観覧記録です。
本展覧会の特徴
・かつて大御輪寺に祀られ、現在は別々の場所にいる仏像5体が集結
・聖林寺十一面観音像は天平時代の傑作
・空間が広くとってあって見やすい
広告- - - - - - - - - -
お出ましの仏像たち
三輪山をご神体とする大神神社。
神社境内には大御輪寺というお寺があり、仏像がまつられていました。
ですが、明治の神仏分離のときに、仏像たちは近隣のお寺へ移動されることになりました。
そのお像たちが奈良国立博物館に一同に会しています。
聖林寺(しょうりんじ) 十一面観音立像
本展示会の主役はこの方、聖林寺の十一面観音立像(>>>十一面観音とは? - 11の顔ですべての人々を見守る救済者 )。
ほの暗い展示室にぽうと浮き上がったように立っておられ、思わずはっとなりました。
かの白洲正子が
さし込んでくるほのかな光の中に、浮かび出た観音の姿を私は忘れることが出来ない。
白洲正子『十一面観音巡礼』
と述べているのも「わかる!!」という感じ。
上半身は比較的肉付きが良いですが、全体的にはスラっとされたお身体。
お顔のアップと横顔。
「沈鬱」と評される、やや厳しい表情なのですが、決して冷たいわけではなく、包容力を覚えます。
頭上の小さいお顔は一部失われていますが、八面(頂上仏面、菩薩面が二つ、怒りの瞋怒面が三つ、牙を表す牙上出面が二つ)ほど残っています。
このお像に関しては、細部云々よりも、そこはかとなく漂う幻想的な雰囲気が魅力かなと思います。
地蔵菩薩(法隆寺蔵)
ふくよかな体躯が特徴的な地蔵菩薩。
手もふっくらとしていて、握手したら安心で包み込んでくれそうです。
地蔵菩薩といえばスリムな方が多い気がするので、珍しいかなと思います。
花のように咲いている宝珠も珍しいですね。
全体的に「安心感」を感じるお像。
とても穏やかな気持ちになりました。
日光菩薩・月光菩薩(正暦寺蔵)
日光菩薩と月光菩薩は、通常対になっているので、左右対称につくられるのが一般的です。
が、こちらのお像は、同じ側の手を上げていますし、作風自体が異なるのもイレギュラーかと思います。
材料の木の種類も異なるらしいので、元は別々につくられたのかもしれません。
大国主大神立像
大国主(おおくにぬし)とは、日本を創った神様とされる存在。
いわゆる「大黒様」と同一視されているので、こちらのお像も袋を背負った姿です。
小さいお像であり、また、五頭身?くらいなので、どこか少年ぽさもあります。
表情は少し眉をしかめていて、「ビリケンさん」にも似ているような気がしました。
広告- - - - - - - - - -
おわりに
仏像はこの五体で、それ以外だと三輪山禁足地からの出土品などが展示されていました。
出陳品は多くないので、フロアが広々としていて観覧しやすかったです
(感染の心配もほぼゼロといえそうなくらい、スペースがありました。ただ、逆の言い方をすれば、展覧会としてはややボリューム感不足の印象はあるかもしれないです)
毎年恒例の特別陳列『お水取り』が同時開催となっていますので、そちらもあわせてどうぞ。
常設の「なら仏像館」もすばらしいので、ぜひお立ち寄りください。
今は仮住まい中の仁王様がとくに必見です。
>>>金峯山寺の金剛力士立像が奈良博にやってきた(~令和10年頃までの予定)
全体情報>>>【奈良国立博物館】年パス持ちのファンがつづる観覧ガイド【総合】
shishi-report-2.hatenablog.com
周辺の施設情報
・東大寺
shishi-report-2.hatenablog.com
・春日大社
shishi-report-2.hatenablog.com
・興福寺
shishi-report-2.hatenablog.com
広告- - - - - - - - - -